寒々しいモスクワ空港

機内食のサービスが終わると機内は静かになって、再び飛行機のエンジン音が気になり始めるのですが、もう乗ってしまったので仕方のない事、この音にも良い思い出が出来るかもしれないなどと変な事を思いながら機内での時間を過ごしていました。シートの狭さで思うようにくつろぐ体勢もとれないのですが、右左に足をずらしたり時々トイレに立ったりして何とか苦痛な時間を耐えていました。
 何時間かかったのでしょうか、モスクワ空港へは暗くなってから到着しました。恐怖でもあった、あのエンジン音の変化する飛行機からは降りる事ができるのです。ただ、着陸するまでは油断は出来ないですし、着陸の一瞬がもっと怖いというのもあります。ましてやあたり一面は真っ暗な世界なのです。
 不安を抱えたまま飛行機は着陸態勢へと入り、いよいよ滑走路に車輪を着ける時が来ました。今にも壊れてしまうのではないかと思うほどの機体の揺れとガタガタミシミシと音をたてて無事に滑走路に降り立った時には周りの人の顔が緊張から安堵の顔に変わったのが分かりました。私もきっとそういう顔をしていたに違いありません。
 飛行機はそのままゆっくりとターミナルに近づいていきます。初めて降りたモスクワ空港は所々雪が残っているのが見え、見るからに凍り付きそうな寒い場所に見えました。ターミナルの近くに停まっている飛行機の近くには軍服を着て、あのテレビで良く見かける毛皮の帽子をかぶり、肩から銃を掛けた軍人さんが何人か立っていました。吐く息は真っ白で任務とは言え、その姿に恐怖にも似たものを感じました。
 手荷物を持って空港ロビーで乗り換えの飛行機を待つのですが、待ち時間の間は空港内の売店に明かり灯り、買い物が出来るのです。売店にはロシア人らしい顔立ちの店員さんが
名いました。私は目的の1つ、キャビアを買うため、そして、時間を潰すために売店に出かけました。
 売店では店員さんが待ち構えていて、コチラの様子を伺いながらショーケースの前をウロウロとしています。私はキャビアとロシア語の新聞を買い、待ち合いロビーに戻りました。